神原雅治|2025年ロン=ティボー第4位、注目の堅実派ピアニスト
2003年生まれ、岐阜県岐阜市出身。神原雅治さんは4歳からピアノを始め、名古屋市立菊里高校音楽科を経て、名古屋音楽大学ピアノ演奏家コース特待生。現在は名古屋音楽大学大学院1年。
ドイツ・フォルクヴァンク芸術大学への短期留学も経験。2025年ロン=ティボー国際ピアノコンクール 第4位。

ゆうき
↑では神原さんのショパンのエチュード10-2やソナタ2番を聴くことができます。
10-2は右手の345が大変むずかしい曲ですが、とても正確な演奏で技術の高さが伺えます!
ソナタでは音楽が内側から沸き立っていくような、まさに歌う演奏。
ピアノにとても真摯に向き合っていることが伝わる素晴らしい演奏です。
幼少期から築いてきた、音楽との深い絆
神原雅治さんは2003年、岐阜県岐阜市に生まれ、4歳でピアノを始めました。
窪田直美氏のもとで音楽の基礎を学び、幼少期から才能を発揮。小学生の頃から全国規模のコンクールに挑み続け、PTNAピアノコンペティション最上級G級では金賞および東京都知事賞を受賞しました。
また、高校生時代には「全日本学生音楽コンクール」で全国優勝、さらに「福田靖子賞選考会」で第2位に輝くなど、全国トップクラスの実力を持つピアニストとして成長を遂げてきました。
ショパン深化する音楽表現
神原さんは小学生の頃からショパンに取り組みます。「ショパン国際ピアノコンクール in ASIA」にて銀賞・銅賞を受賞しています。

ゆうき
↑は大学の定期演奏会でのシューマンの演奏です。
音楽の静けさと深みを兼ね備えた演奏で、心に染み入ります。
きっと小学生のころもショパン作品に丁寧に向き合い、繊細に演奏をされていたのではないでしょうか。
名古屋から世界へ ― 研鑽と挑戦
高校は名古屋市立菊里高等学校音楽科に進学。その後名古屋音楽大学ピアノ演奏家コースに特待生。関本昌平氏・清水皇樹氏に師事しています。現在は名古屋音楽大学大学院1年在学中。
また、ドイツ・フォルクヴァンク芸術大学に短期留学も経験し、ヘンリー・ジークフリードソン氏にも指導を受けます。
国内外のさまざまな環境で、多角的な視点から音楽性を磨いています。
【最新実績】ロン=ティボー国際ピアノコンクール 第4位入賞!
2025年3月、フランス・パリで開催されたロン=ティボー国際ピアノコンクールにおいて、神原雅治さんは日本人で唯一ファイナルに進出し、第4位に入賞しました。
この年のコンクールには18か国から126名が応募し、予選・セミファイナルを経てファイナルへ進出したのはわずか5名。神原さんはファイナルでブラームス《ピアノ協奏曲第1番》を演奏し、
力強さと繊細さを兼ね備えたスケール感あふれる演奏で、聴衆と審査員に深い印象を与えました。
⬇️こちらからロンティボーファイナルでの神原さんの演奏を聴くことができます!(8:31〜)

ゆうき
↑深く心に響く音色でオケとの一体感も素晴らしいです!
神原さんはピアノの音色を噛みしめるように、味わうように、そしてピアノを弾くことの喜びを感じ入って演奏されているように見えます!
他コンクールでの主な実績
ロン=ティボー以前からも、神原さんは国内外の主要コンクールで堅実に成果を上げてきました。
- 2022年:仙台国際音楽コンクール 審査員奨励賞
- 2023年:ハンス・フォン・ビューロー国際ピアノコンクール 第3位
- 2023年:ピティナ・ピアノコンペティション特級 銅賞
いずれも難関の舞台で、着実に評価を得てきました。
ショパンコンクール予備予選へ
2025年4月には、第19回ショパン国際ピアノコンクール予備予選への出場が控えています。
神原さんにとってショパンは大事なレパートリーであり、その感性や音楽観が最も自然に表現できる作曲家のひとりなのではないでしょうか。
今まで磨いてきた音楽が、「ショパンコンクール」を通してどのように花開くのか。注目せずにはいられません。
京増修史|2021年ショパンコンクールで覚醒した、誠実派ピアニスト
1996年生まれ、宮城県仙台市出身。東京藝術大学音楽学部を首席で卒業し、安宅賞やアカンサス音楽賞など数々の学内賞を受賞。現在は同大学大学院修了後、国内外で演奏活動を展開しています。
第18回ショパン国際ピアノコンクール本大会にも出場し、洗練された技巧と誠実な音楽づくりで注目を集める若手ピアニストです。

ゆうき
こちらは2021年の前回ショパンコンクールでの京増さんの演奏です。
温かく柔らかな音色は京増さんの大きな魅力であり、微妙なニュアンスまで汲み取った繊細な表現が印象的です。
音楽の原点は“まねっこ”から
宮城県仙台市に生まれ、その後すぐに函館へ。
京増修史さんがピアノと出会ったのは幼稚園の頃。幼稚園の先生が弾いたメロディを自宅の電子ピアノで再現していたことがきっかけだったそうです。
その後、武蔵野音楽大学の教授・石川哲郎氏との出会いにより、本格的なピアノの学びがスタート。小学生の頃から東京に通い、石川氏のもとでショパンやバッハを中心に学んでいきました。
コンクールに苦手意識を持っていた
実は京増さん、意外にも「自分はコンクール向きではない」と思っていたそうです。
藝大を目指すときも特別な“師事ルート”を通らず、挑戦されたそうです。
「普通、藝大を受けるとなったら、あらかじめ藝大の先生に師事することが多いですが、まったくそういうこともなく受験して入学しました。」
とはいえ、東京藝術大学に首席で合格・卒業し、安宅賞、クラヴィア賞、アカンサス音楽賞など、学内での評価は非常に高いものでした。
転機となった2021年・ショパン国際ピアノコンクール
初の国際コンクール、初のヨーロッパ
「5年に一度のこのチャンスを逃したくない」という思いで挑戦したのが、2021年の第18回ショパン国際ピアノコンクール。これが京増さんにとって、人生初の国際コンクールであり、初のヨーロッパ滞在でもありました。
1次予選は大勢の審査員が見守る中での登場。極度の緊張で手が痺れ、頭が真っ白になったと振り返っています。
その後、2次予選まで進出。結果以上に、京増さん自身にとってこの経験が大きな意味を持ったようです。
ショパンを通して広がった世界
コンクール後、京増さんの心境は大きく変化します。
「正直、それまではコンクールを最後にして教職に就こうと思っていました。報われないことも多いし、精神的にしんどい。でも今回は本当に多くの刺激を受けて、“このままじゃいけない”と痛感しました」
この経験を経て、留学や演奏活動にも前向きに。2022年12月には日本コロンビアの『FIVE STARS』シリーズとして浜離宮朝日ホールでリサイタルを開催し、ついに「演奏の楽しさ」を実感できるようになったと語っています。
今だから感じる“ショパンの難しさ”
藝大修士課程を修了する際、学位試験ではショパンを選びました。
しかし近年は「ショパンがどんどん遠くなる」と感じているとのこと。
楽譜の奥にあるニュアンスを探るうちに、「かつては気持ちよく弾けていた曲が、今では慎重になってしまう」と語る姿には、表現者としての誠実さがにじみます。
音楽で“誰かの心を晴らせる”存在に
現在は、演奏活動のかたわら地元の合唱団の伴奏も務めています。
あるとき、「あなたのピアノを聴いたら気分が晴れた」「体調が良くなった」という言葉をかけられたことが、何よりも嬉しかったそうです。
前回大会で大きな刺激を受けた京増さん、2025年のショパン国際コンクール予備予選では、どのようなショパンを奏でるのか、期待が高まります。
北桜子|ウィーンに羽ばたいた、国際派ピアニスト
2002年生まれ、愛知県出身。東京藝術大学附属高校・同大学を経て渡欧し、ウィーン国立音楽大学(MDW)に在籍。世界的ピアニストのリーリャ・ジルベルシュタイン氏に師事。

ゆうき
北桜子さんによるショパン《バルカローレ》の演奏です。
音の一粒一粒がきれいに響き、丁寧に音楽と向き合っている姿勢が伝わってきます。
若々しさと音のきらめきに満ちた、みずみずしい演奏です。
幼少期から開花した音楽的才能
北桜子さんは2002年、愛知県に生まれました。ピアノを始めたのは3歳のとき。指導にあたったのは、地元・伊井光子氏。早くから音楽の素養があり、幼少期にはPTNA(ピティナ)ピアノコンペティション全国大会において、A2級〜F級まで多数の入賞を重ねています。
小学生から国際舞台へ
北桜子さんは小学生にしてすでに国際コンクールに挑戦していました。
- 2014年:ジェノ・タカーチュ国際ピアノコンクール(オーストリア)Aカテゴリー第1位
- 2016年:ルービンシュタイン国際ユースピアノコンクール(中国)入選
- 2019年:モスクワ・クライネフ国際ピアノコンクール セミファイナル進出
高校・大学時代も実績が続く
東京藝大附属高校での研鑽
高校は、東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校ピアノ専攻へ。国内外のコンクールでも引き続き成果を挙げます。
- 第5回ベートーヴェン国際ピアノコンクールAsia Dカテゴリー第2位(相模湖交流センター賞・テアトルフォンテ賞)
- なごや青少年ピアノコンクール:部門優勝、愛知県知事賞
- 第34回愛知ピアノコンクール:中学生B・C部門金賞&中日新聞社賞
- 第3回ジャパンピアノオープン:第3位
大学進学とウィーンへの旅立ち
高校卒業後は東京藝術大学に進学。しかしより深い表現力を求め、2021年秋にはウィーン国立音楽大学(MDW)へ進学。世界的ピアニスト、リーリャ・ジルベルシュタイン氏に師事します。
また、江口玲氏、大嶺未来氏といった名ピアニストにも学び、日本とヨーロッパの指導のエッセンスを吸収しています。
演奏活動も積極的に展開
2022年2月にはメニコンHITOMIホールでリサイタルを開催し、アカデミックで落ち着いた選曲と演奏で高い評価を受けました。地元では、姉の向日葵さんと共にトークコンサートを開き、後輩への刺激にもなっています。
また、ピアノ専用シューズ「リトルピアニスト」の愛用者としても知られ、「どんなピアノでも練習通りに弾けて、ペダルの操作が格段に安定した」と語っています。
幼い頃からの夢「ショパンコンクール」への出場が決定
北桜子さんのブログでは、2025年ショパン国際ピアノコンクール予備予選の通過を受けて、その喜びが素直な言葉で綴られています。
小学生の頃に初めてショパン・コンクールを生で聴いて以来、この舞台に立つことを夢見てきたといい、「まだ夢のよう」と心境を語っています。
狭き門を突破できたことが少し自信につながったとも記しており、「ここがスタート地点」と気持ちを新たに、来月からの予備予選に全力で挑む姿勢を見せています。
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